FullKenのブログ

メドレー作者

【あとがき】【アイマス合作】DREAM SONGS COLL@BORATION【人力ボカロメドレー】

動画本編

はじめに

どうも、選曲したくない系メドレー作者のFullKenです。

動画の方はお楽しみいただけましたでしょうか。私はこの合作に「メドレーの全体構成/一部アレンジ、音声ミックス、マスタリング」の担当として参加しています。

作品自体はアイマスの5ブランドが混ざっていて少々長いですが、全編を通して力作ですので、まだの方はぜひ見てくださいね!

 

まず断っておきたいのが、私はこの合作に参加していながら、アイマスPではありません

そんな人間が手伝って大丈夫なの?と思われるかもしれませんが、今回の私の担当はメドレーと音声まとめです。

アイマスの世界で言えばPや事務所側の仕事と言うよりも、関連する音楽スタッフのお仕事に当たります。企画担当から提供された楽曲情報を元にセトリを組み、編曲し、ライブのミックス担当をしたようなもので、まさに裏方作業です。

この記事は動画に対する感想は少なめで、アイマス関連のお話も出てきません。裏方の私がこの合作でどういった事をやっていたのかという活動記録寄りの記事になっています。

目次

合作への参加

去年の夏頃に、先に運営として参加されていたきっかんさんから、メドレー担当としてこの合作への招待が来ました。

内容を見ると人力ボカロのオリメド合作というインパクトの強いもので興味はありましたが、もちろん私はアイマスPではないので、それを踏まえて「他の方を当たった方が・・・」と返答しました。

するとやはり、何の根拠もなしに私へ招待を出したわけではないようでした。

  • 普段の音MAD合作向けのメドレーとは異なり、今回は人力ボカロが主役という事でメドレー制作側に要求される内容に癖がありそうとのこと。
  • また、既に合作に参加しているアイマスPの方々から、意見が十分に出て来ており、アイマスの知識については間に合っているとのこと。
  • そして何より、私が選曲をする必要が無さそうなこと。(←ここ重要)

これらの理由から私であっても十分に役割を果たせそうだと判断し、メドレー担当として合作に参加する事にしました。

 

メドレー制作について(※マスピは含みません)

メドレーの構成

いつも通り、メドレー全体の構成を担当しました。
選曲確定までの流れと、今回特別に気を付けていたことを残しておきます。

選曲

私が合作に参加した時点ですでに話が進んでおり、運営及び参加者がやりたい事について、楽曲とおよその歌唱アイドルがセットでリストアップされている状態でした。ありがたい。

選曲候補の締め切り後、運営側に希望するメドレーの長さを確認し、リストの優先度付けを依頼しました。

しかし、優先度付けの結果を見ると、優先度高めの曲がかなり多く、メドレーの長さから想定される曲数的に「出来る限り採用して欲しい」楽曲以外は採用できそうにありませんでした。

「採用できなくてもいいよ」と言う楽曲がない場合、メドレーとしては全体を通して綺麗に繋ぐのが困難になります。

とは言うものの、リストの内容を見ると優先度が高いだけあって、選曲と歌唱アイドルの組み合わせについては、アイマスPでない私であっても、少し調べればやりたい事がすぐに分かるレベルの説得力がありました。

結局これ以上は楽曲を絞れないとの事で、優先度高めの楽曲だけの方針で構成を進めることになりました。

ちなみにこのしわ寄せは、翼をくださいからAgapēへの無理な転調や、中盤のBPM変更を多用しているところなどに現れています。仕方ないね。

 

各選曲の使用範囲

今回は人力ボカロが主役という事で、楽曲の中でも「歌」が入っている部分を重点的に採用し、間奏は可能な限り削減する方針で進めました。

また、歌唱アイドルが多いパート、特に各ブランド全体の枠として用意されたパートについては、全員が歌うことが出来るように尺を確保する必要がありました。

 

メロディの音域

メドレーの構成を作る際、一般的に各楽曲を自然に繋ぐために原曲からキーを変更することが多いです。

しかし、メドレーが完成した時に、メロディの音程が歌うのに適さない音域になっていると、人力ボカロの品質に影響が出てしまいます。

そのため、今回は構成の段階で各楽曲のメロディの音域の調査し、女性ボーカル、男性ボーカルそれぞれに合った音域になるように楽曲のキーを調整しています。

 

メドレーのアレンジ?(下準備)

さて、メドレーの構成が完成し、アレンジ担当者と相談して割り振りも決定し、
さっそく・・・

 

<アレンジの作業を本当に始めても良いのでしょうか>

 

と言うのも、今回は人力ボカロが主役です。

普段通りにアレンジをするとメロディはもちろん「楽器」になるわけですが、このままではメロディを抜いた音源のミックスの状態が「歌声」用ではなく、その「楽器」用になってしまいます。

 

つまり下準備をした方が良いですね。

と言うわけで「代わりの音声データ」を作りましょう!

 

公開する予定はありませんが、この合作には「NEUTRINO」を使用した「東北きりたん&ナクモ」による仮歌バージョン(※マスピを除く)が存在します。
(作品として公開するとなると、ユニットの音声などをしっかり作り込む必要があるので厳しいです)

 

作り方は簡単!(なわけねぇだろ)
全27曲のメロディとハモリをミスの無いように細心の注意を払いつつ耳コピし楽譜に変換して1音ずつ歌詞(発音)を入力し「NEUTRINO」に流し込んで綺麗に歌うように音の長さと発音の割り振りを何度も調整するだけ!

 

これらの「代わりの音声データ」については全て私の方で用意し、メドレーの各アレンジ担当者に配布しました。

もちろん、これらのMIDIや音声データなどは人力ボカロの担当者にも配布しています。

一石二鳥だね!
(※クソデカい岩を用意して鳥の群れに放り込む人)

 

メドレーのアレンジ

私が担当したのは以下の2か所で、合わせて6分15秒くらいになります。

  • 「07 お願いマッスル」~「11 おさかな天国 / 12 たべるんごのうた」
  • 「22 シル・ヴ・プレジデント」~「27 アカシア」

内容的には「2nd sideの最初の音」みたいな音を鳴らしてみたり、おさかな天国の伴奏を忠実に再現したりと色々ありましたが、やはり一番は「アカシア」のアレンジでしょうか。

今回は人力ボカロが主役という事で、メドレーの最後の楽曲に当たるアカシアに『人力ボカロの見せ場と言う名の挑戦状』として、伴奏の無い『アカペラ部分』を作ってみました。

もちろん勝手にやると怒られる可能性があるので運営側に提案。なんと快諾を頂きそのままの形で採用となりました。

 

そして実際に、該当のフレーズを担当した冷茶さんには見事な人力ボカロを作っていただきました!が、

まさかのそれにとどまらず、天道輝のアドリブソロまで作ってきた!?!?

私の心配はいずこへ・・・マジで熱意が半端なかったです!

 

メドレーを作り終えた後

本来の私の仕事は終えたわけですが、良い作品に仕上げたいという主催の意思と諸事情が重なり、音声まとめについて「まずくねえかこの状況」と気になるようになりました。

大規模合作における音声まとめ担当の経験は無かったものの、このまま放置して後悔するのも嫌だったので、結局私のほうから音声まとめ担当までやりたいと声を上げ、担当を変わっていただきました。

 

音声まとめについて(マスピを含みます)

方針

さて、いつものように基本を疑いましょう。

 

<本当によくあるような方法で音声まとめを実施しても良いのでしょうか>

 

今回は音MADではなく人力ボカロです。

音MADでは、すでに仕上がったメドレー音源に、追加でMADの音声を乗せることになります。

しかし人力ボカロの場合は、メロディが入っていないメドレー音源に、人力の音声を乗せることになります。

つまり今回は未完成のメドレー音源を、完成にまで仕上げる事が目的となります。

 

さらに繰り返しになりますが、今回は人力ボカロが主役です。

今回の合作における音声まとめはこの合作の生命線を担っており、人力ボカロの良さを最大限にまで引き上げる事が責務となります。

 

さて、一般的なMADの音声まとめであれば、「1つのパートの音声担当から、音声データを1つ受け取ってまとめ側で取り込む」というのが基本かと思います。

しかし今回これをやってしまうと、音声担当者ごとにミックスの内容に差が生まれ、全体を通して声質がころころ変わるなどして、まとまりが無くなってしまいます。

 

と言うわけで今回、各パートの音声担当者さんには「歌唱アイドル」ごとに、ハモリの音源までバラバラの状態での提出をお願いしました。※一部大人数のユニゾンを除く

 

「こんなの音声まとめじゃないわ、ただのボーカルミックスよ!!!」

 

もちろんとんでもない数の提出ファイルを扱う事になりますが、その点は覚悟が出来ているので問題ありません!

 

提出音声の加工

歌声のデータをゴリゴリに扱うのも今回が初めてでした。
以下は提出ファイルを音声まとめ側で取り込む際に、必要に応じてやったこと一覧になります。

  • 各発音の発声タイミングの調整、音程誤りの修正
  • コンプ、音量調整、パン振り
  • EQの調整と歯擦音の抑制
  • メドレー音源とのミックス、マスタリング

 

完走した感想

一旦ミックスを仕上げた後に音声のリバーブを全体的に再調整したり、マスピの音声提出が遅れるなど最後までバタバタでしたが、何とか納得いくレベルに仕上げることは出来ました!

マスピ音声についてはまだ良くなる余地はありましたが、作業期間的にそこまでやるのは現実的ではなかったです・・・いや、そのファイル数が・・・

 

だって

さくらんぼパートより拝借

 

音声まとめ作業で取り込んだファイル数
メドレー:467 
マスピ:345
 合計:812

 

簡単に言うと「ちょっと短めの音声データを50ファイル取り込んでミックスしてね」を16回分やった事になります。

延べ数百人分の歌ってみたのミックスをするような感じ?なんですかね。もうよく分かりませんね・・・

※「やった人がいるから」と、覚悟が出来ていない人にこの作業量を依頼するのは絶対にやめましょう!例えこの1割の量でも尋常じゃないからね!

 

おわりに

さて、裏方の作業をつらつらと書き連ねてきましたが、私だけでなく、人力ボカロ担当者も映像担当者も相当な労力を要していたはずです。

膨大な数の音声素材を用意し、そこから歌に合った発音を1つずつ抽出し、滑らかに繋げて歌声に息を吹き込んでいく・・・

映像側も、素材集めと切り抜きから、画面構成や動きを考えたり、人によっては3Dを扱ったり動画のトレスまでやっていましたよね・・・

さも当たり前のように作品を視聴してしまいますが、冷静に考えると何もかもがおかしいです。

これだけ地道で大変な作業をやってあれほどのクオリティに仕上げているところを見ると、人力ボカロの担当者や映像の担当者の中には私以上に努力した方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

そして私は裏方です。

選曲と歌唱アイドルの組み合わせに関わったわけでもなく、人力ボカロの音源を作ってもいないし、何かしらのアイマスの要素を考えて作品に組み込んだわけでもありません。

視聴者の方々に動画を楽しんで頂けているのは、ネタを考え、音声や映像を作っていただいた他の参加者のおかげです!

今回の裏方作業が、アイマスコンテンツを楽しむ作者と視聴者の下支えになっていれば、私としてはそれで満足です!

ここまでお読みいただき、ありがとうございました!