【駆け合作FINAL】全体構成について #ニコメド記事投稿祭
この記事は『駆け抜けるメドレーコラボレーションFINAL』の活動記録の一部です。
自分が関わった活動全般についてはこちら【2年間の個人活動記録】
概要
全体構成とは、簡単に言えば作品全体の展開や流れを決定する作業です。
この記事では駆け合作FINALの全体構成を遂行するにあたって、どのような作業が必要だったかについてまとめていきます。
一般的なメドレー作成との違い
使用するフレーズを組み合わせる「構成」の作業自体は、曲を組み合わせて作るような一般的なメドレー作成にもあります。
まずはこれらと今回の合作の「全体構成」の違いについて見てみましょう。
使用するフレーズ
提出された音源はそのまま使わなければならないので、使用フレーズの切り出しやBPM変更、キー変更はできません。合作の規模を予測して、あらかじめ提出音源のルールに繋ぎ部分のBPMやキーに制限を付けておきましょう。
もちろん『構成的に入れるところが無かったので不採用』というのはNGです。
パート数
提出パートの数は参加者が確定したり音源が全て提出されるまで分からないため、事前に作品全体の長さを予測するのは難しいです。
また、提出パートが多くなると作品が長くなり、少なくなると自然な繋ぎが難しくなるというジレンマがあります。
例えば、リクエスト曲を過不足なく使用するアセンブル方式の場合、自然に繋ぐためには最低でも25曲(フレーズ数)は欲しいです。
しかし駆け合作の場合は1パート平均2分、25パート(フレーズ数)の参加を仮定しても全体の長さは50分となります。
もちろん駆け合作の方が繋ぎ制限が厳しいので25パートでは足りないどころか、そもそも今回は参加パート数の調整自体ができません。
パート数が多いか少ないか…どちらに転んでも作業量の暴力か繋ぎの破綻が待っています。
メリット?
ここまでデメリットばかりでしたが、メリットもあります。
パートの順番は崩したくないけど綺麗に繋げたい部分が出てきた場合、運営側の権限で繋ぎ用パートを作ることが出来ます。(これ、一般的なメドレーで言えばただのオリジナルのフレーズなので大したメリットでもないな?)
いわゆる構成用パートと呼ばれますが、始まり方も終わり方も長さも自由に決められます。これで繋ぎも安心です!(なお作業は増えるもよう)
このように一般的なメドレーに比べて難易度が高いので、軽い気持ちや無計画に手を付けると大ケガをします。もし担当することとなった場合は、それなりの覚悟を持って作業に取り掛かりましょう。
実際の作業
全体の流れについて
今回の作業全体のイメージです。大体この流れで説明していきます。
- 各パートの情報収集、主催要望の確認
- 動画別の最初と最後のパート決定
- 全体構成
最初の作業
参加音源が出そろい、いよいよ全体構成の作業が始まりますが・・・
さて、一番最初に必要となる作業は何でしょうか?
まだ提出音源の内容を知らないので、まずは情報収集が必要ですね。手始めに提出された音源を聞いてみましょう!
提出パート数:118(クラシック:65、モダン:53)
再生時間:4時間以上
もちろん1回だけ聞いただけで内容をすべて把握できるわけではないので、何度も聞くことになります。とは言え、情報収集や構成作業中にも自然と聞き返すことにはなるので、意図して何度も聞く必要はありません。
情報収集
全体構成を進めるにあたって、集める必要のある各パートの情報と補足説明になります。
担当者情報(特にアレンジ担当)
構成する上では不要な情報に思えますが、今回の合作では同じ人が複数のパートでアレンジする事が許可されています。『またこの人か』と思わせないように、配置のバランスをとるために使います。
始調/終調
今回の合作では接続部分のキー指定がないため、必要な情報になります。なお、絶対音感を持っている人が居るとスムーズに特定できます。(ゼッタイオンカンワカラナイ)
始コード/終コード、接続先のコード
音楽理論に強い人が理詰めで繋いでいくために必要な情報になります。最終的にあまり参考にしていなかったため、場合によっては不要かもしれません。
(繋ぎの聴き心地が悪くなければいいよね。コードリロンワカラナイ)
始拍/終拍
メインとなる音が始まる拍数と、終わった後に次パートを始めてもよい拍数になります。前後パートで音が重なってはいけませんし、中途半端に余白ができてもイマイチなので必須です。
始BPM/終BPM
今回の合作では接続部分のBPMが192と140の2種類あるため、必要な情報になります。
基本的には提出時の曲リストにある数字を使えばよいですが、曲リスト側が間違えている場合もあるので要注意です。※ちなみに同様の合作を開催する人はBPM192を基準とする場合、もう片方を144とする事を推奨します(192:144 = 4:3)
再生時間
今回の合作では、動画分割した際の時間調整があるため必須です。
個人的感想、ネタや特徴、雰囲気、音楽ジャンル ほか
一覧から内容を思い出しやすくするための情報です。あると便利でしょう。
なお、これらの情報のほとんどはM.IzのMizukiさん?(詳細不明)が1週間ほどで取りまとめてくださいました。大変助かりました!ありがとうございます!
主催からの要件確認
今回は全てのパートを自由に繋げて良いわけではなく、いくつか主催からの要望がありました。
- モダン/クラシックはそれぞれ独立したメドレーとして完結させる。
- 分割した動画が1本31分未満に収まるようすること(当時のエンコード仕様の問題)
みなさんも知っている内容かと思います。特に問題ないようです・・・が、実は一点だけ主催の銀河Pさんと揉めた事象がありました。
動画の分割数問題
出来るだけ分割数を抑えたい銀河P氏と、安心して作業するために分割数を増やしたい自分の方で揉めた問題です。
作業開始当初、提出音源から算出したクラシックの総再生時間は2時間18分、モダンの総再生時間は1時間53分でした。従って、単純に30分で分割した場合クラシックは5動画、モダンは4動画になります。
実は当初、この分割数の指定も要件に入っていましたが、自分の方から待ったをかけました。
-銀河P-
動画を分割しすぎた場合動画投稿の手間がかかり、また合作としての一体感が損なわれます。なので分割数は出来る限り抑えたいです。
クラシック5動画、モダン4動画でお願いします。(要約しています。細かいところ忘れてたらすみません)-FullKen-
一度構成してみて時間調整がうまく行かずに分割数を増やさざるを得なくなった場合、各動画の最初と最後のパート決めから全て作り直さなくてはなりません。
さらには時間調整してうまく行ったとしてもそれは時間調整のために構成を妥協したことになるので、良い作品になる事は保証できません。また構成用パートを入れる余地もなくなってしまいます。
よって、クラシック6動画、モダン5動画に分割することを希望します。
何度か協議を重ねたうえでお互いが妥協し、結果的にクラシック5動画、モダン5動画に落ち着きました。結果的にもこの数字がベストでした。
構成用パート
本来であれば自由に作成できるはずですが・・・
「選曲したくないなぁ。せや!参加者に選んでもらおう!」※いつもの悪い癖
というわけで銀河Pさんにお願いして参加申請フォームに好きな曲の必須項目を設けていただきました!
しかし、118のリクエストが集まったのは良いものの、いざ全体構成の作業が始まると構成用パートにまで手が回らなくなり構成班メンバに相談。(おい
結果的に記事口授さんが「やってみたい」と好意的だったので作業をお願いすることになりました。本当に助かりました!
作成方針
構成用パートの作成方針は次のようになります。
- リクエスト回数はクラシック/モダンそれぞれの参加パートで分けて集計する。
- 楽曲はリクエスト1回につき1回だけ。過不足なく使用する。(構成用パートの総切替数=参加パート数となる)
- リクエストをもとに、動画の分割数と同じ数だけ構成用パートを作成する。(計10パート)
- アレンジ担当についてはクラシック5パートは運営側で完結させ、モダン5パートは合作に参加していない方へ依頼する。
図.リクエスト曲の管理表
構成班 会議
全体構成に向けた意見交換や各動画の最初と最後のパートの決定など、会議を何度か実施しました。この中でも特に最初と最後のパート決定には悩まされました。
最初と最後のパート決定
会議の中で決まった基本方針は次のようになります。
- 音源のクオリティが良いこと
- 始まった感じ/終わった感じのパートであること
- 最初側は選曲の知名度が高く、駆け抜けの基本形となる疾走型のパートであること(ただし、1つくらいは出オチがあってもよさそう)
- 最初側についてパートの長さは短め、もしくは長くても飽きさせない音源であること
- 最終的に1本の動画になるため、前の最後→次の最初が繋がるような4セットとして考えること
これだけでもなかなか厳しいのですが、内容を考えるにつれてさらなる難点が・・・
・過去作との比較
例えば、駆け合作Ⅳは最初/最後の計6パートのうち2パートが「M.Iz」パート…つまり参加パートではなく構成用パートと兼任しています。
確かに、構成班側でパートを用意することが出来ればあまり運に頼らなくても良くなります。しかし、さすがに選曲縛りのある構成用パートを最初や最後に使うわけにはいきません。
・モダンの最初側に該当するパートがやたら少ない問題
会議を進める中で、クラシック側は難しいながらもパートが確定できましたが、モダンの場合、最初のパートに該当する作品が「ちゅるちん」パートしかありませんでした。確かにモダンはクラシックと比べて65パート→53パートと数は少ないですが、それにしても少なすぎます。
いったい何故なのか・・・考えてみれば当たり前でした(ただし、あくまで推測)
今回の合作はクラシック/モダンに分かれていて、どちらにも同じ名義で参加できるようになっています。これは「真面目な作品とカオスな作品で住み分けを行う事」が目的です。両方に参加する各作者さんはこの基本方針に従って「クラシックでは真面目に。モダンではふざけたパートを作ろう」という風になると思います。
ここで、各動画の最初側に配置するパートの方針を見てみると・・・これは事実上「真面目なパート」に該当することが分かります。
つまりモダンにそのような「真面目なパート」が来る確率は・・・
これらの難点が重なりモダンの最初のパートについては計画が破綻\(^o^)/。銀河Pさんに相談し、構成用パートとは別に運営側で参加パートを2つ用意する事の許可をもらいました。
(夕刊倶楽部(木星)、銀河P(土星))モダン53→55パート、全体118→120パート
※ほとんどの人は見えません
構成用ツールの作成
いよいよメインとなる全体構成の作業です。まずは総当たりで考えてみましょう!
クラシックのみ:1.1978E+100 通り(65+5パート換算。E+nは桁数移動なのでこれは101桁)
それはさておき、前後のパートの候補をある程度絞るようなツールがあると便利ですね。
実はM.Izさんからツール提供を受けてはいたのですが、調やコードのみで情報が少なかったため1から作ってみる事にしました。
目指すは繋ぎに関わるいくつかの項目を数値化し、パートの前後関係から評価値を算出するツールです。
ここではツールの中身と言うよりは、数値化した項目についてまとめてみました。
評価値算出のために数値化した項目一覧
類似調
調が近いかを段階的に評価(同調→5度転調→1or3度転調)
コード
※個人的にあまり参考にはできませんでした。
始続/終続
勢いをキープしたまま繋げられるか
始断/終断
一旦終わって再スタートするように繋げられるか
前後拍数
前後パートでメインの音が重ならないようにするため
BPM
接続時のBPMが一致するようにする。ただし再スタートする場合は例外
テンション
疾走 or バラードなど。盛り上がり具合
これらの項目をもとに各パートの前後関係から評価値を算出(65x64通り、53x52通り)、各組合せごとに一定以上の評価値となっている数をパート別にカウントできればOKです。
半月ほどでツールは完成。評価値の計算式はガバガバですが、無いよりは圧倒的にマシになりました。
図.入力値に対してエラーを吐く構成用ツール
全体構成
あとは簡単!繋ぎの組み合わせ数に余裕のないパートから順に繋いでいくと自然とグループが出来るので、最終的にグループ同士を繋げていけば完成です。おつかれさまでした!
全体構成を進めるにあたって、自分なりに気を使った事柄について次にまとめています。
意識したこと一覧
- 繋ぎは再スタートを多用すると一体感が無くなるため、できる限り勢いをキープした繋ぎにする。
- 構成用パートは各動画に構成に余裕があろうが無かろうが必ず1つずつ配置する。
- 各動画の最初と最後だけに限らず、その付近のパートの品質はある程度以上をキープする。
- 各動画に分かれた時、全体的な品質にばらつきが無いようにする。(→個人的にクラシックは成功。モダンは木星に強い音源が寄ってしまったため失敗)
- 似た楽器構成(ピアノだけとか)のパート同士が寄らないようにする。
- 複数のパートに参加している同じ人が寄らないようにする。(→構成用パートで全動画に参加した記事口授さんを含めても、各動画の参加者に同じ人が3回以上出てこないという謎の偉業を達成(想定外))
- 特にモダンは可能な限り強いネタ同士が寄らないようにする。
- BPM140のパートは少ないが1ヶ所にまとめると展開が少なくなるので出来るだけバラバラにする。(→クラシックは成功。モダンは無理)
- グループ同士を繋げるにあたって最終的に各動画の長さがほぼ同じになるように常に気を配る。
図.クラシックの構成用プロジェクトファイル
BPMの可変対応は無理なので120固定。小節数の表示が9999小節目を最後に消えている。
末路
2018年の年末年始全てをクラシックの全体構成に捧げた人の図
頼む・・・この最後のパートよハマってくれ・・・頼む・・・_(´ཀ`」 ∠)_
※うまく行きましたがモダンの全体構成が待っています♪もう一回遊べるドン!
あとがき
自分はメドレーを作り始めた時から「構成」について絶対的な自信をもって作業をしていますが、やはり選曲やアレンジに比べると分かりにくい事もあり、普段は視聴者の方々の反応からその評価について読み取れる事はそう多くありませんでした。
しかし、今回の駆け合作FINALを視聴した方々の反応を見て、自分はホッとしました。
自分にとって、この感想が人によってバラバラだった事が、何よりも嬉しかった。これだけの苦行をやり遂げて良かったと実感することが出来ました。
最後に、構成班の主要メンバへ2年越しの謝意を。(いつの間にか自分がリーダーになってたけど)
- 26Kさん -
通話会議ではメンバーの中でも一番意見を出していただき、自分とは違う視点からのアドバイスはとても役に立ちました!
- 8:51:22 pmさん -
運営側として2パートもアレンジを担当していただき大変助かりました!また、再び駆け合作でやごいさんの疾走感あふれる音源が聴けて最高でした!
- 記事口授さん -
構成用パートだけでなくタモリ倶楽部の構成まで作るという無茶ぶりにも関わらず、好意的に手伝っていただき、おかげさまで作業をスムーズに進めることが出来ました!
そのほか、構成用パートのアレンジを手伝ってくださった方々も感謝いたします。
皆さん本当にありがとうございました!!